未分割遺産がある場合、どのように相続税の申告をすればいいのですか?

  • 2018/2/13
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Q.
 未分割遺産がある場合、どのように相続税の申告をすればいいのですか?

A.
 故人が遺言を残していない場合には相続人間で遺産分割協議を行いますが、この話し合いがまとまらず、相続税の申告・納税期限である10カ月以内に遺産の全部を分割できなかったとしても、税務署が相続税の納税を待ってくれるわけではありません。
 未分割の遺産については、各相続人が民法の定めによる相続分(法定相続分や代襲相続分)の割合に沿って、その遺産を取得したものとみなして相続税額を算出します。

 未分割遺産が存在する場合には、期限までに全ての遺産の分割を終えて申告・納税した場合と比較して主に次のようなデメリットが生じます。
 第一に、遺産の一部が未分割であれば、その分割されていない遺産部分については配偶者の税額軽減の適用を受けることができません。この税額軽減の定めによって、配偶者は1億6,000万円か法定相続分(遺産の半分等)のいずれか大きい額につき相続税が課されません。
 第二に、未分割の宅地等については小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。この特例の定めによって、遺産のうち居住用や事業用のものについては各々一定の面積(居住用は330㎡。故人の事業が不動産貸付業であれば200㎡、不動産貸付業以外でかつ特定事業用宅地等に該当すれば400㎡。居住用と特定事業用は完全併用可)につき評価額が通常の半分~2割となります。
 第三に、原則として物納が許可されません。未分割の遺産は、相続人全員の共有財産とみなされ、物納財産としては不適当とされるからです。ただし、その共有者全員が持分の全部を物納するのであれば、物納の申請を行うことが可能です。
 第四に、相続税の納税猶予の適用を受けることができません。農地等、非上場株式等などにつき納税猶予の適用を受けるためには、その納税猶予の対象となる農地等が申告期限までに分割されていなければなりません。

 とりあえず未分割遺産が存在する状況で期限内申告書を提出する際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を同時に提出することが重要です。
 この分割見込書を提出すれば、未分割であった遺産が相続税の申告期限より3年以内に分割された場合には、その分割された日より4カ月以内に更正の請求を行うことで、上記の配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例の優遇措置については適用を受けられるようになります。さらに、過去の納税額が過大であったならば、その多い部分について還付を受けることが可能です。
 この場合にも申告期限より3年以内という制限が存在することに留意する必要があります。

 未分割遺産が分割されたことで相続税額に変化があれば、新しく次のような申告書等を提出しなくてはならない可能性があります。
〇遺産が分割されたことで新たに申告書を提出する必要が生じた場合…期限後申告書
〇遺産が分割されたことで既にすでに確定して申告していた相続税額に不足が生じた場合…修正申告書
〇遺産が分割されたことで既に確定して申告していた相続税額が過大となった場合…更正の請求

 相続で取得した遺産を、申告書の提出期限より3年以内に譲渡した場合、所得税を算出する際の課税所得の計算において、一定額をその譲渡した遺産の取得費に加算することが認められています。
 取得費に加算できるということは、取得費は譲渡金額より控除できますので、それだけ課税所得が減少し、所得税の負担が軽くなります。
 この定めについても3年以内に分割が決まらなければ適用を受けられません。申告期限までに遺産の全部が分割されなかった場合にも、3年以内に分割してしまわなければ、相続税だけでなく所得税についても損をすることとなります。
 取得費に加算される相続税額については、相続した土地・建物・株式といった財産を譲渡した場合に、その譲渡した相続財産に対応する相続税額分が取得費に加算される相続税額です。
 この定めの適用を受けるに当たっては、その財産を譲渡した年分の所得税の確定申告書に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」等の書類を添える必要があります。

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